【コラム】違約金0円で携帯解約へ、総務省がやりたい放題だったキャリアの息の根を止める勢いで良い仕事をしてる件

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昨日私の中でも大きなニュースとなったXperia Z4の発表よりももっと身近で切実な携帯契約の見直しが図られるというニュースがありました。

こちらのほうが気になる方も多いかもしれませんね。

今回はタイトルの通り、これまでキャリアのやりたい放題だった携帯電話契約について、総務省がようやく重い腰を上げた風に受け取っている方も多いかもしれません。

 

ここに至るまでに実は8年もかけ「ようやく」辿り着いた結果のです。(まだ途中ですが)

今回の考察は総務省が頑張っていい仕事してるんだ!ということをこれまでの経緯含めてまとめておきます。

 

 

今回のニュースは歓迎すべきこと

これまで「2年縛り」の解ける25ヶ月目のみ、解約・MNPするときに「契約解除料」が発生しないという訳のわからない「縛り」の見直しに向けて検討を始めるよ!という内容です。

2年間継続する契約をすることで端末代金の割引と基本使用料の割引(半額)を受けられ、2年以内の解約・MNPに解除料=違約金が発生するのは理解できます。が、しかしなぜか『自動継続』前提となっているため、26ヶ月目から再び契約解除料が発生するもの。

 

もちろん2年縛りのないプランもありますが、見た目の安価さに、ほぼすべての方が2年縛りを自ら契約してるのが実情です。

携帯の契約プランが複雑すぎて毎月の支払額は把握するも、その内訳は殆ど理解されていないのをいいことに、キャリアはこれまで自分たちのやりたい放題してきた施策に、総務省が「待った!」をかけたわけです。

 

この2年縛りの是非は次章でまとめていますが、昨年12月に「ICTサービス安心・安全研究会」にて検討されていた内容を、より具体的に推進するためのものです。

(青で囲った部分は今秋スタートに向けて、「契約満了月が1ヶ月⇒2ヶ月」はこの発展形)

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(出典:消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第1回)資料3-1  ICTサービス安心・安全(消費者保護ルール)に関する現状(事務局)

 

 

これは携帯電話・モバイルデータ通信におけるクレームのうち、解約・(契約)解除料に関するものが非常に多いことから具体的に検討が進められることになったようです。

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(出典:消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第1回)資料3-1  ICTサービス安心・安全(消費者保護ルール)に関する現状(事務局)

 

 

 

総務省の様々な取り組みは意外と古くから

今回の2年縛りの見直しもそうですが、開始時期が5月に迫ったSIMロック解除。

SIMロック解除に関する最初の検討は2007年に策定された「モバイルビジネス活性化プラン」において、提言され、その中に「SIMロックについては原則解除する方向で検討をし、2010年の時点で最終的に結論を得る。」としてまとめました。

そして、2010年6月にSIMロック解除のガイドラインを定め、2015年4月までの約5年間、運用してきたわけです。このガイドラインは法制化されたものではなく企業の努力目標であったため、各社の対応はマチマチなのはご承知の通り。

<各社の対応状況>

  • NTTドコモ:2011年4月以降発売するスマートフォンは原則SIMロック解除に「有償で」応じる対応
  • au:通信方式が違うためSIMロック解除しても意味がないからか現時点でもSIMロック解除には未対応
  • ソフトバンク:SIMロック解除できる機種を限定し、お上に向けては「やってますよーちゃんと!」というスタンス。

 

auは仕方ないにしてもソフトバンクのやり方は全くワケが分かりませんw

不人気機種をSIMロック解除対象機種として定め、2013年5月の新製品発表会の質疑応答で「ニーズがない」と言い放ちました。その当時の模様はこちらに詳しく書かれていますので良かったら見てみて下さい。

 

またSIMロック解除に関するガイドラインには見直しに関する記載も。

(6)本ガイドラインの見直し等
総務省は、
①SIMロック解除に係る事業者の取組
②SIMロック解除に対する利用者等の評価
③SIMロックが解除され、SIMカードが差し替えられた場合において
利用可能となる通信サービス、アプリケーション等の状況
等の携帯電話市場を取り巻く環境変化を踏まえ、本ガイドラインを見直すとともに、所要の対応を行う。

将来も、その時どきにあった形で見直すこと、となっています。一時的なものじゃないよ、恒久的なものなんだよ、ということです。

 

 

そして世界最高水準のICT社会の実現に向け

2014年に総務省は、2020年代のICT(情報通信技術)を世界最高水準に高めるべく、様々な観点で見直しを始めました。

その中で学者様を中心とした「ICTサービス安心・安全研究会」を開催し、消費者保護ルールの見直し・充実、青少年保護・育成の在り方などを議論してきました。このうち、「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(ワーキンググループ)」は6ヶ月でなんと11回も開催されました。

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出典:総務省|ICTサービス安心・安全研究会|会議資料・開催案内等

 

この中で「クーリングオフ」や「SIMロック解除」について議論され、報告書にまとめられました。

「クーリングオフ」は業界団体の猛反発に遭い、一旦見送りになりましたが、「SIMロック解除に関するガイドライン」は改正され、昨年12月に発表されました。

参考資料:SIMロック解除に関するガイドライン(平成26年12月改正)

このガイドラインには以下の記載があります。(ガイドライン本文・新旧対照表より抜粋)

・事業者は、原則として自らが販売した全ての端末についてSIMロック解除に応じるものとする。
・事業者は、可能な場合には利用者がインターネットや電話により手続を行えるようにするなど、迅速かつ容易な方法により、無料でSIMロックの解除を行うものとする


・事業者に対し、SIMロック解除を強制するものではないが、事業者は、SIMロック解除について、本ガイドラインに沿って、利用者の立場に立った取組に努めるものとする。

・平成27年5月1日以降新たに発売される端末について適用する。なお、それ以前に発売された端末については、平成26年12月改正前のガイドラインの趣旨に沿って適切に対応することが適当である。

と、あくまで「義務化」であり、これに反したとしても罰則規定はないのです。(そう読めた)

義務化、ということはソフトバンクのようにこれまでのガイドラインと同様、従わないキャリアが出てもおかしくないのかなぁ、と。現時点で各社がどのようなサービスになるかが明確になっていないのはこういう理由なのかな、とも考えてしまいました。

 

 

今回の義務化でauは重い腰を上げた?

auがSIMロック解除に応じなかったのは、3G電波方式がCDMA2000という規格であり、ドコモ・ソフトバンクのWCDMAとは方式が違うため、通話・データ通信の互換性がないことを理由にSIMロック解除に応じて来なかったのだと思います。

しかし、今はLTE全盛期。

これまでauスマートフォンによる通話は不可、データ通信は(理論上、対応周波数上は)LTEデータ通信ができる状態であってもSIMロックされているため、ドコモやソフトバンク、ドコモ系のMVNO会社SIMを認識できず、実質利用できませんでした。

 

しかしLTE(主にFD LTE)は各社共通で利用できるネットワークですので、auも「ウチは知らないよ~」とは言っていられない状況になっています。

そしてauもLTE網を利用した通話(VoLTE)を始めたため、もう覚悟を決めてSIMロック解除に応じることになっていくのでしょう。

実際、こんな話も聞こえてきました。
対応周波数全てで技適認証取るとは非常に良い話です。

ちなみに、昨日発表されたXperia Z4は今夏発売予定ですのでSIMロック解除対象製品です。au Xperia Z4でも周波数さえ合えばドコモやドコモ系MVNO、ソフトバンクでも通話(VoLTE限定? *1)・通信ができるようになるのでしょうか。

どのような対応となるのか、楽しみにしたいと思います。

*1 auのVoLTE対応機種は3Gに非対応となります。

 

 

総務省の今後にも期待!

今回の考察は総務省による国民の意見、事業者の言い分を踏まえた新しい枠組みを策定したことは非常に高く評価すべきだと思います。

今回議論が始まる「2年縛り」撤廃に向けては第一段階として事前の本人への通知(これは決定事項)、契約更新月を1ヶ月⇒2ヶ月に延長されることが検討されています。

ぜひもう少し踏み込んで25ヶ月目以降はいつでも解約できるような事業者への指導をぜひして頂きたいと思います。といいつつ、契約解除料がかからないプランは現在でも契約できるわけですから、気になる人はそっちを契約しとけばいいじゃん!という話もありますがw

 

また、今回見送られたクーリングオフについても引き続き検討をしていただきたいところ。最近はあまり聞かなくなりましたが「ウチが一番電波の品質がいい!」とか「エリアが一番広い!!」というような『まやかし』に騙されてしまった場合、「無かったことに」できるような施策ができると安心ですからw

 

ゴールデンウィーク明けにはキャリアの夏モデル発表会が始まるはずです。そこで新製品発表と並び、SIMロック解除に関するアナウンスがあると思いますので、注視したいと思います。

 

 

 

5件のコメント


  1. […] 【コラム】違約金0円で携帯解約へ、総務省がやりたい放題だったキャリア… と考察しましたが、本日4月22日にドコモ・auからSIMロック解除に関する案内が相次いで発表されました。 […]


  2. ここでどこか1社がキッパリ方向転換してくれると盛り上がっていくんだろうけど・・・
    実際は穴をついてこれまでとはあまり変わらない経営方針になりそうだな


  3. この手の記事を読んで思うけど
    「2年間継続する契約をすることで基本使用料の割引(半額)を受けられる」
    だからね。端末うんぬん関係ないよ。2年以内に機種変更しても解除料取られないでしょ。
    端末が関係しているのは月サポ系。

    今は自動継続前提だけど、今後は2年後(その前後)に継続するかどうかの選択になるのが1番いいと思うよ。


    1. >>今は自動継続前提だけど、今後は2年後(その前後)に継続するかどうかの選択になるのが1番いいと思うよ。

      継続するかの選択が二年目にあるのが今。
      どうするのー?っていってるのを無視しているのを請求止めておくこと出来ないから一ヶ月の猶予がある。


  4. 通話料のカルテルとか、実質無料(99%有料)的な詐欺文言とか、月額有料サービスに入会すると機種代金を若干割引する謎のサービスの押し付けとか、(ドコモで言えば)ドコモIDのパスワードとSPモードのパスワードは違うんだぜ的な意味不明なパスワードの発行管理にまでメスを入れて欲しいな。