XperiaにおけるAndroidアプリ考察

【コラム】海外端末における技適問題をひと通り理解してみたいと思って。

「お、お前がいうなっ!」とツッコミ必至ですが、海外携帯端末を日本国内で使用するときに必ず言われる「技適問題」について一度きちんと勉強しなきゃ、と常々思っています。今回はその「さわり」部分に触れてみました。。

技適問題はタブーとされている空気なのは重々承知しています。「せっかくコアに楽しんでんだから余計なことすんなよボケがっ(# ゚Д゚)!!!」という批判もたくさん受けるかもしれません。申し訳ありません、先にお詫びしておきます。

※本考察でいう「海外携帯端末」とはiPhoneシリーズ(3GS・4・4s・5c・5s)を除きます。これらiPhoneはSIMフリー版であっても日本の技適マークを表示させることができ、電波法違反にはなりません。単一機種の強みです。

「技適」とは

正式名称は「技術基準適合証明」といい、日本国内で使用する「無線設備」が昭和25年(平成ではないです)に施行された電波法に従い無線通信の混信や妨害しないものであることを証明するものです。

管轄省庁は総務省となり、メーカーが提出する申請に基づき、総務省が定めた基準をクリアしているかを外部の証明機関が審査し、技術基準適合証明番号を付与するものです。

(平成7年から使用されている技適マーク)

メーカーは機種ごとに(包括的に)この申請を行い、そして承認を取り、ようやくキャリアへ納品できることになります。

直近ではXperia Z UltraのWi-Fi版が10月16日に、KDDI版が10月31日にこの技術基準適合証明を取得したことが公示され、総務省のサイトでも確認することができます。

総務省 電波利用ホームページ | 技術基準適合証明等の公示(平成25年度分)

(公示されるまでに時間がかかるため、直近の検索はこちらから可能です。)

日本で発売されている端末には必ずこの技適マークが端末のどこか(電池を外すと見えたり)に表示されています。Xperia Z1は電磁表示です。(設定>端末情報>法的情報 で画面上表示)

これに対し、グローバルのXperiaでは日本での認証を得ていないため技適マークはなく、代わりFCC IDとCEマークが印刷もしくは電磁表示されています。

FCC IDとは米国の連邦通信委員会(Federal Communications Commission)が、電波の送信能力について指定認証機関の検査に合格したことを示すID(日本の技適に相当)、CEとはEU諸国において該当商品が基準を満たしているかを表すためのものです。(電波関連だけではない)

日本国内で使用する前提ではあるものの、海外でも同じ端末を使う(国際ローミング)ために、各国の周波数にも対応すると共に米国及び欧州の認証を得ています。

SIMフリーと言われる端末は、その名の通り、その国・地域で利用可能なSIMカードをキャリアの縛りなく使用できる端末を指します。

SIMフリー携帯電話の大多数は、基本的に世界中のどこの国でも利用できるよう、対応周波数も幅広く対応しており、この対応周波数に日本で利用可能な周波数帯が含まれるモデルが存在し、日本のキャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク系(イー・モバイル含む))と契約、もしくはMVNOと呼ばれる再販キャリアと契約したSIMを挿して、通信設定さえすれば『物理的に』通信できてしまうのです。

いわゆる「技適問題」とは

上記の通り、「日本国内で」使用するためにメーカーが機種ごとに包括申請を行った携帯端末以外の、同一メーカーが販売しているSIMフリー携帯端末において、『物理的に』通信できてしまうことが電波法上の問題となるということです。

総務省の電波利用ページの技適マーク、無線機の購入・使用に関することの2.技適マーク、無線機の購入・使用に関すること Q4「技適マークが付いていなければ違法になるのですか?」に対する回答は

「技適マークが付いていない無線機を使用すると電波法違反になる場合があります。」

とあります。

ここでいう「無線局」とは電波利用ホームページの特定無線設備、特別特定無線設備一覧を見ると「2.特定無線局(電波法第27条の2第1号に限る。)」にW-CDMA、CDMA2000、LTEの記載があります。

読み替えると、特定無線設備、特別特定無線設備一覧に記載ある試験方法に則った試験を行っていないSIMフリー携帯端末は電波法違反になる「場合があります」。

この「場合があります」とあるのが、電波法第103条の5の規定:一言で言えば、国際ローミングに関する規定を除外するためなのでしょうか。ただしこの解釈が企業や人によって違ったりするため、いろいろな説が出てきたり。法の解釈は大抵そんなものですけども。(例1例2) 正反対の解釈です。どちらも監督官庁に問い合わせをした結果を書かれています。

例2のブログをじっくり読ませて頂きました中で気になる文章を発見。

「技適マークのない海外製端末を国内キャリアのSIMで使った場合だが、法律違反となる対象は包括免許を持つ携帯キャリアであり、利用者が罰せられることはないということだった。」

私自身が問い合わせしたわけではないので、あくまで伝聞としてこういう話もある、ということです。

いずれにせよ、日本においてSIMフリー端末を日本国内で契約したSIMを用いた通信及びWi-Fi・Bluetoothによる電波を送受信することは「電波法違反」ということは確実です。

ではSIMフリー販売事業者は違法ではないのか?

私もかなりお世話になっているExpansysさんをはじめ、1shopmobileさんなどを利用して海外モデルを調達するときにお世話になっている人も多いのではないかと思います。

これらの輸入端末販売に関しては、今のところ販売してはいけない、という主旨の法律は無いようです。(例2として使わせて頂いたブログ作者様は非常に突っ込んできっちり書かれているので、こちらでもご紹介させて頂きます)

技適マークのない無線機器の販売は違法か? | BLOGRAM

またどちらの法人も本社は香港や英国であり、日本には連絡窓口としての機能のみ持たせていて、実質的な売買契約は香港の日本部門事務所での対応となるようです。

また国内店舗としては秋葉原(あと大阪)にイオシスというショップ、東京駅にWasabeeというショップもあります。これらの実店舗のスタンスは「それらを国外での使用を前提として販売しております」(Wasabeeサイト)と謳っており、もし海外携帯端末を使用した人が罰せられた時に販売事業者としての立場を明確にしている(保身)ことがよくわかります。

この技適問題の落としどころ

そんなものがあればとっくに落ち着くところに落ち着いているはずなので、落としどころなんて無いと思います。

「じゃ海外からの観光客が使ってるスマホは違反じゃないのかよ!」という声もあるようですが、こちらは「自国で契約したSIMカードで『国際ローミング』している状態であれば」上記、電波法第103条の5のとおり、「合法」になるそうです。

しかし、その海外からの観光客がもし日本で契約したキャリア(とMVNO業者)のSIMを自国から持参した携帯端末で利用した場合は「電波法に抵触=違法」となるそうです。

使用中のSIMカードを確認する手段はIMEI(端末識別番号)で確認できるかもしれませんが、実質的にはやっていない(やれていない)ためか、「野放し」となっているのが現状のようです。

野放しだからといって使い続けると、このように摘発されます。

不法無線局の罰則は一年以下の懲役又は100万円以下の罰金、重要無線通信妨害にあたる場合は五年以下の懲役又は250万円以下の罰金が科せられます。

そしてこのように報道発表されます。

今回は今まで斜め読みしてきた技適について、付け焼き刃ではありますがいろいろ調べてみました。

技適問題を知るには法制面の知識(解釈)と技術面の知識(理解)が必要であり、非常に奥が深い問題であり、簡単に理解できるようなものではないことをまず学びました。

私なりに理解したことは、技適マークのない海外携帯端末による通信(Wi-Fi・Bluetooth含む)は確実に電波法違反になること、これはどんなに拡大解釈しても変わるものではありません。ただ、罰せられるのは利用者なのかキャリアなのか、というグレーな部分があること、実際に(上記例は船舶無線ですが)摘発されていること、これらを肝に銘じる必要があります。

個人的な願望となりますが、電波法は昭和25年に施行され、現状に則して改定されてきた法律です。これからオリンピックで今の数倍のアスリートや観戦客が海外から訪れるのは明白です。

海外からの来客に対してWi-Fiスポットを増やそうなどハード面での施策は進むようですが、法制面の整備(改定)、キャリア縛りの緩和策なども検討が進めば、、、と思います。

まだまだ勉強が足らず、内容も薄っぺたいですし、間違った理解をしているかもしれません。「ここ読んでみたら?」なんてアドバイスなどあれば、そっと教えて頂けると嬉しいです。