いよいよ5月1日からSIMロック解除の義務化が始まり、先日のニュースでもいろいろ報じられていましたね。
いったい何ができるの?どんなメリットがあるの?デメリットは?ということはこの考察ブログの読者は「そんなの知ってるわい!」かもしれませんが、「サルワカ方式」でまとめておきます。
目次
SIMロックって何なの?
ドコモで契約したスマートフォンはドコモでしか使えない、auで契約したスマートフォンはauでしか使えない、ソフトバンクはソフトバンクでしか使えない、というのがこれまでの携帯電話です。
本当は他社でも使える(*1)のに、スマートフォン本体に「ドコモでしか使えない、auでしか使えない、ソフトバンクでしか使えない」ように『ロック(制限)』を掛け、他社では使えないようにしているのです。これを「SIMロック」と呼んでいます。
*1 他社でも使うための条件がいくつかあります。これは後述します。
SIM(しむ)カードとはナニモノ?
ドコモ・ソフトバンクでは「USIM(ゆーしむ)」、auでは「au ICカード」と呼ばれていますが、世の中的には「SIM(しむ)」カードといいます。
SIMカードには契約者情報や電話番号が書き込まれていて、スマートフォンはこのSIMカードの情報を読み取って電話やインターネット(データ通信)ができるようになっています。毎月の携帯電話料金の請求もこのSIMカードに書き込まれている情報(電話番号)を元に毎月請求がかかります。
SIMカードのサイズは3種類あり、スマートフォンによって使えるSIMサイズが違います。昨今のスマートフォンは「microSIM」、最新のスマートフォンは「nanoSIM」サイズが主流です。
スマートフォンにはこの「SIMカード」と言われるICカードが入っています。形状や機能は「全世界共通」です。もちろんXperiaにもiPhoneにもこのSIMカードが入っています。
通常は購入したお店で動作確認のためにスマートフォン本体に入れた状態で引き渡しをされますので、あまり見る機会はないかもしれませんね。
SIMカードが入っていないとどうなる?
今やどこでもネットにつながっていることが必須になってきていますね。
SIMカードが無い場合、090や080番号の電話はできませんが、自宅や出先でも無料のWi-Fiスポットを利用すればLINEやFacebookなどのSNS、ソーシャルゲームを楽しむことができます。(最近は路線バス内でも無料Wi-Fiが完備されている会社もあります)
近隣にWi-Fiスポットが無い場合、解消する方法の一つとして「テザリング」という使い方があります。通話はできませんが、SIMカードの入っているスマートフォンを「親機」にしてWi-FiやBluetooth経由でSIMカードの入っていないタブレットやスマートフォンでインターネットが使えるようになります。
このようにSIMカードがないと単独での利用は大幅に制限されてしまいます。
SIMロック解除とは
ここまででスマートフォンとSIMカードの関係はなんとなく分かった!と思いますが、おさらいしますと、
- SIMロックとはスマートフォン本体に掛けられていること
- 契約した携帯電話会社(キャリア)以外使えないような制限が掛けられた状態
- SIMカードは契約者情報や電話番号など、請求に係る個人情報が入っているICカードを指す
となります。
そして本題の「SIMロック解除」とは、
- スマートフォン本体に掛けられているロックを『解除』し
- 契約した携帯電話会社(キャリア)以外も使えるような状態
- SIMカードは何もせずそのまま(請求は契約した携帯電話会社から)
というものです。
今後は「ずっと欲しいと思っていたドコモの小さいXperiaがauで契約したSIMでも使える!」となるかもしれませんね。それを望んでいた人にとっては夢のような話かもしれません。しかし、とても大事で、残念なお知らせがあります。
これまでのスマートフォンはau・ドコモの互換性がない
のです。これは通話において、ドコモとauの電波方式と対応する周波数(電波の帯域)が違うため、相互利用ができません。したがって、現行製品では「ずっと欲しいと思っていたドコモの小さいXperia(Xperia Z3 Compact)がauで契約したSIMでも使える!」は実現できないのです。。。
電波方式・対応周波数の違いもスマートフォン本体の話です
実はこの「電波方式の違い」もスマートフォン本体の話なのです。これまでの携帯電話(ガラケー)は「ドコモ向け」「au向け」「ソフトバンク向け」と別々に製品を製造してきました。
スマートフォン、特に最近の製品はドコモでもソフトバンクでもauでも使える電波方式・対応する周波数帯をサポートした基板(CPU)を使用しているため、実際はキャリアごとにチューニングして使用できる電波方式・対応する周波数帯を制限しているのです。
実際にXperia Z3は対応電波と対応周波数を各キャリア向けにチューニングしているだけで、ハードウェア的にドコモ・au・ソフトバンクで全く同じモデルを販売しています。またiPhone 6は3キャリア共に「A1586」というモデル、iPhone 6 Plusは「A1524」というように、全くの同一モデルなのです。
デメリットはないの?
現時点の有償での対応及び5月以降のSIMロック解除義務化によって、できなくなること(デメリット)はありません。端末の保証、契約中サービスも継続されます。
強いて言えば、
- SIMロックを再度かけることができない
- 他社SIMの動作確認はしていない
- 故障時にドコモ回線契約が無い場合は代替機を貸してもらえない
- 回線契約がある場合でも代替機はSIMロックされた端末となる
- 5月以降の新機種は6ヶ月経過後のSIMロック解除の条件がキャリアで対応が異なる。
(ドコモ:本人のみ、白ロム不可、本人であっても解約後3ヶ月超過すると解除不可)
(au:白ロム可、期間の制限なし)
くらいでしょうか。
自分のスマートフォンはSIMロック解除できるの?
結論を言えば、iPhoneは全キャリアNGでAndroidは各キャリアごとに対応が違います。
2015年4月30日までに発売されたAndroidスマートフォン
- ドコモ:Androidスマートフォンのうち、解除対応機種については3,240円で解除できます。
. - au:SIMロック解除に未対応です
. - ソフトバンク:5機種のみ対応可能、解除手数料は3,240円です。
.
2015年5月1日以降発売のAndroidスマートフォン
※4/23発売のau Galaxy S6 edgeは新ルール対応機種となりますが、ドコモGalaxy S6 / S6 edgeは旧ルール扱い(有償で即SIMロック解除が可能)
ドコモ・auはSIMロック解除に関してニュースリリースを発表しています。ソフトバンクは新製品発売直前に発表するようです。
ドコモ、auともに契約後6ヶ月間はSIMロック解除ができません。6ヶ月経過後にwebからは無料、電話・店頭では3,240円で解除が可能です。
持ち込み(含 中古)スマートフォンの対応
ヤフオクやAmazonなどで購入したスマートフォンのSIMロック解除に関しても2015/5/1を境に各社対応が異なります。
- ドコモ:従来スマートフォンは有償で対応、5/1以降は購入した本人以外は解除不可、また本人であっても解約後3ヶ月経過するとSIMロック解除不可
. - au:従来スマートフォンはSIMロック解除不可、5/1以降は持ち込みでも対応可(店頭のみ、有償)
SIMロック解除で誤解されていること
このような書き方をすると、スマートフォン本体のSIMロック解除すればどの製品でも使えるようになるじゃないか!!と思いがちですが、実は違うのです。
今回のSIMロック解除は「2015年5月1日『以降』に発売された携帯電話」に対する義務化であり、上記のXperia Z3やiPhone 6 / 6 Plusは対象外なのです。
ドコモはこれまでも有償でのSIMロック解除を受け付けていますのでXperia Z3はSIMロック解除対象ですが、iPhoneは対象外です。
ドコモXperia Z3をSIMロック解除すればどこのキャリアでも使えるの?
残念ながらそうはならないのです。
先ほど「電波方式と対応する周波数が違う」と書きました。この対応周波数とは、電波法で定められた各キャリアごとに使用できる電波の帯域のことを指します。ドコモなら800MHz、1.5GHz、1.8GHz、2.1GHz等々。
SIMロック解除はこの対応周波数の変更(というか本来ハードウェアとして対応可能な周波数への対応)はされません。あくまでドコモ向けと同じ電波方式と対応周波数を持つキャリアでは利用可能になる、ことを意味します。
だんだん書いていて内容が難しくなってるのは理解してますが、ここは非常に大事なところなので頑張ってください。(説明が下手でスミマセン)
ドコモのXperia Z3の対応電波・周波数が全部使えることを◯とした場合、au・ソフトバンクのSIMでできることは以下のようになります。
ソフトバンクは通話もLTE通信もできますが、フルカバーしていないため△に。(2.1GHzのみ)
なお、iPhoneの対応状況はこちらのブログに纏まっていましたので興味あればご確認を。
しかし、今後発売される製品はSIMロック解除を見据えて本来スマートフォン自体がサポートする電波方式・対応周波数が増えていくことが予測されます。
話題のMVNOを使うためにはSIMロック解除は不要です
MVNO(格安SIM)はドコモやauから「回線を借り受けて」安価に提供されるサービスです。よって、利用したい端末が利用したいMVNOの回線提供元のキャリアから発売されたスマートフォン(ドコモのスマートフォンを利用したいのならドコモ系のMVNO、auのスマートフォンを利用したいのならau系のMVNO)であれば、SIMロック解除せず利用することができます。
ネットオークションやネット通販で「白ロム」と言われる新品が出品・販売されているものを使ってMVNOにMNP(ナンバーポータビリティー:番号そのままでキャリアを乗り換える)方、MVNOが販売する「SIMフリー」スマートフォンを購入する方も増えているようです。
SIMロック解除とSIMフリーは何が違う?
【コラム】SIMフリーとSIMロック解除の違いについてまとめてみたとして考察していますが、SIMロック解除とSIMフリーは厳密には違いますが、キャリア(携帯電話会社)の縛りがなくなるという意味では同義と考えても良いでしょう。
厳密に言えば、本来スマートフォン自体が対応できる電波方式・対応周波数すべてに対応できるものをSIMフリースマートフォンといいますが、上記「ドコモXperia Z3をSIMロック解除すればどこのキャリアでも使えるの?」でまとめたように、『他社SIMでも使えるけれど、自社の周波数帯でも使えるなら使ってもいいですよ』がSIMロック解除となります。
まとめ
海外旅行や海外出張で現地のSIMを利用するシーンがどれだけあるか?ということ、各キャリアは国際ローミングサービスも提供し、海外パケット定額サービスもありますのでちょっとした調べ事やSNS程度であれば普段使っているスマートフォンを使ったほうが後悔することはないんじゃないかな、と思っています。
今回この考察をまとめてみて思ったこと、結局は「是が非でもSIMロック解除しましょう!」という風向きではないのかな、と個人的には思っています。(もしかしたら転売しようと思っていたらSIMロック解除しておいたほうが高く売れる(かも)というレベル?)
冒頭にも「みんな知ってるわ!」レベルの話と書きましたが、この考察が良かった!と思って頂けたならぜひシェアして頂ければ、、、