2月2日にソニー株式会社の第3四半期業績説明会が行われました。そこでモバイル・コミュニケーション分野で売上高は前年同月比▲35.3%の減収であったことが発表されました。
理由は欧州地域(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、スペイン、スウェーデン)を中心としたスマートフォンの販売台数の減少、前年度に事業縮小を図った不採算地域でのスマートフォンの販売台数の減少をあげています。営業利益についても▲29億円となりましたが、こちらは構造改革を実施し、さらに為替差益がプラスになっての結果です。
そして主に海外におけるスマートフォンの販売台数の想定を下方修正し、通期での売上高も下方修正、営業利益もさらなる費用削減に加え、想定より高い価格でスマートフォンを販売することなどにより前述の減収の影響を補う、とのこと。
本当にXperia、売れてない・・・
販売台数200万台下方修正、200億円売上減少!
1台あたり平均10万円を単価としているXperia。ハイエンドモデルのみを年間1700万台も販売しようとしているのです。
世の中、ASUSやHUAWEIといった低価格高機能スマートフォンが台頭してくる中で、Xperiaにしかできない差別化要素が減ってきていて、それこそ2年前のXperiaでも普通に使う分には全く問題ないくらいで、性能的にも底上げされてきている中、低価格高機能モデルの登場で、これまでの強気の価格設定が今後も続けていくことは、ソニーの事業の一角として居続けることができるのでしょうか。
•通期では、スマートフォンの年間の販売台数を200万台引き下げ、1,500万台としたことを受けて、売上高を200億円下方修正しました•今回の販売台数の変更においては、地域の観点では、中南米および中近東における引き下げが主な要因となっております•営業利益見通しについては、減収のマイナス影響はあるものの、費用削減や価格維持などによってこれを相殺し、据え置きとしています•目標である通期での営業黒字化を実現したいと考えております
引用部分にあります「価格維持」という言葉に一瞬違和感を感じました。
というのも、ドコモで始まったXperia XZ、Xperia X Compactの割引施策、auでもソフトバンクでもXperia XZの割引販売が始まりました。当然割引が増えれば売上も減るんじゃないの?と思いましたが、メーカーとしてはキャリアからの発注分はそのまま売上になって、割引の原資はキャリア側が被るのでしょう、だから価格維持できるのですね、きっと。
出荷台数を見ると驚きの事実が
こちらはXperia blogに掲載されていたXperiaの出荷数グラフです。これを見ると最盛期だった2014年10-12月の半分以下しか出荷できてないようです。2014年の秋頃といえば、、、そう、Xperia Z3シリーズが発売された頃です。
Xperia Z3といえば、メインはXperia Z3以外に4.6インチ液晶のコンパクトモデルXperia Z3 Compact、8インチタブレットモデル Xperia Z3 Tablet Compactというラインナップでした。
そしてXperia Z3はベータ版ではありましたがAndroid N Previewも搭載された非常に優秀なXperiaです。すでに販売済だったXperia Z4でもなくZ5でもなく。(製品版ではアップデート対象外となってしまいましたが)
2014年10-12月以降、出荷台数が激減しているのはXperia Z4(海外ではXperia Z3+とお茶を濁した)に搭載されたチップセットの発熱&暴走問題で大きく評判を落としたこと、また中国系メーカーによる低価格高性能モデルの台頭ですっかり影を潜めてしまいました。(もともとグローバルレベルにおける出荷台数ではトップ5にも入っていませんでしたけれども・・・)
ソニーのモバイルコミュニケーション事業、この先どうなっていくのでしょうか。このまま低価格モデルに市場を奪われていき、このまま糸冬了してしまうのでしょうか。VAIOのように分社化されていってしまうのでしょうか。(それはそれでアリだと思います。VAIOもソニー時代よりサポートも良くなった気がしますし)
スマートフォン自体が既に生活インフラです。付加価値のある機能も大事ですが、いかにシンプルに不具合なく長期間使えることが重要になってきていると思います。
同じような歴史を辿ってきた「パソコン」
パソコン。PC。最近の若い人たちは使わない(使えない)人が増えているようですが、昨今の「格安スマホ」と言われる低価格スマートフォンの動きとまったく同じ道を歩んでいることに気が付きました。
今から20年くらい前、それまでモバイル用途のノートPCは15万円以上出さないと買えなかったのが、2007年~2012年頃まで「スペックは落として画面サイズも小さいけど、OSも普通のWindowsで、できることはほぼ同じ」なのに半値以下の『ネットブック』が大流行しました。
ネットブックはASUSやAcer、MSIといった新興勢力、エプソンダイレクトやマウスコンピューターなど中小国内メーカーが強くて、ネットブックの創生期にはそれまで高価格帯のPCを販売していた大手メーカーは静観モードでした。が、次第に自社ブランドでもネットブックを販売し始めて、世の中ネットブック以外ないんじゃないか?というくらいの勢力だったと記憶しています。モバイルルータと抱き合わせでPCを本体は「100円」とかでも投げ売りされてました。
「格安スマホ」と言われる低価格モデルはまさにこの当時のネットブックの勢いに相当するような気がします。
そんな中、ネットブックには一切手を出さず、これまで以上に自社ブランドの育成を頑張っていたのが「Panasonic」です。PanasonicのノートPCといえば「Let’s Note」シリーズ。今でも高価格帯ですが、バッテリーの持ちや堅牢な筐体を売りにビジネス用途では圧倒的なシェアを誇ります。
XpeiraはLet’s Noteを目指すべき?
Xperia。そのブランドイメージとソニーの持つオーディオ・ビジュアル分野の技術を小さな筐体に詰め込んだ高付加価値を訴求し、高価格帯で戦っていくと宣言しています。
プレミアムであり続けるために、カメラ機能の強化、オーディオ機能の強化をしていく。その姿勢はまるでLet’s Noteのそれと同じように思えてしまいました。当時、ネットブックに対して非常に危機感を持っていたはずで、それでも「彼らとは違うんだ!」と「この嵐が止むまで我慢しよう」という思いと、非常に悩んだんだと思います。
格安スマホの台頭を「フンッ」と思って、我が道を行き、今はたしかに辛いけどココが踏ん張りどころ!!と思って、いつか、ある分野では圧倒的なシェアを奪えるようなモデルの登場をずっとずっと待っていたいと思います。
・・・ただちょっと心配なのは、VAIO擁するソニーもネットブック、当初は指をくわえて見てた側だったはずなのに、VAIO Wなんてモデルを出しちゃったのですよね。。。
Xperiaもやっぱり格安スマホ市場に参入しちゃうのでしょうか。。。小銭稼ぎも大事ですが、ブランドイメージは大事にしてもらいたいですよね。(この前言ってたことと180度違ってますが^^;)