今年はMVNO(格安SIM)の飛躍の年!といっても過言ではありません。
「格安SIM」や「格安スマホ」と聞いて知らない人はいないんじゃない?というくらい世の中に「名前だけは」浸透してきました。いわゆるマーケティングでいうイノベーター理論でいけば、今まさにグラフの頂点あたりでしょうか。
今回のコラムはこのMVNOビッグウェーブに乗れていない「Xperia」、どう考えて今こういう状況なのかを考察してみたいと思います。
目次
MVNOのパワーはすごい
リサーチ会社MM総研によりますと、2016年3月末時点のMVNO(格安SIM)利用者は前年比65.5%増の539.4万回線ということです。国内3キャリアの総数1億5600万回線(TCAより)に比べればまだまだ3.5%と非常に小さい数値ではありますが、前年が2.1%と考えれば伸びています。
量販店でも格安SIM・格安スマホの扱いは「コーナー」から「ブース」に変わってきています。扱いの大きさがキャリアのブースと同じ、いやそれ以上になってきていたのを見てビックリしました。
そのすごさはMVNO事業者の数でも
MVNO:Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)事業者数は2015年12月末時点で一次MVNOが210社。半年後の2016年6月末時点で247社になり、二次MVNO(※)を含めると580社まで増加しています。
下記のグラフは2016年3月末からの3ヶ月間で二次以降のMVNOを含むもので、たった3ヶ月で29社も増えていることが分かります。
(出典:総務省 電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表の別紙6ページ目)
※二次MVNOとは
キャリア(MVO)から借り受けた回線を一次MVNO、例えば「OCN」、「IIJ」、「So-net」、「Biglobe」、「InfoSphere」といった以前からインターネット接続プロバイダを運営しているような大きな企業がMVNE:Mobile Virtual Network Enabler(仮想移動体サービス提供者)となり、サービスを『再販』してもらっているMVNOを指します。
参照元:ケータイWatch http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/mca/718396.html
MVNOのサービスの内情はこのように一次・二次・二次以降といくつかの種類に分かれますが、対応エリア・対応周波数はMNO(キャリア)と同一です。(回線品質は違うこと、対応周波数は広くともその電波を拾えるかは端末に依存します)この話は非常に奥が深いので以降は割愛します。
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これだけのMVNO市場の賑わいの大きな理由は毎月のコストが下がることはもちろんですが、「良質な端末」の登場があってこそ。
切り替えを考えるのは現在使用しているスマートフォンの2年縛りが解けるタイミングが多いのではないでしょうか。古くなってきた、全体的に動作が遅い、などで端末ごと切り替えるときに、魅力ある端末がなければ「やっぱりこれまでのキャリアでいいや、値段も変わらないけど今払えてるからなー」という結論になるわけで。。。
良質な端末とは
一般的なスマートフォン利用者がMVNOに流入してくる決め手となるのはFREETELのような新規参入組の効果、Zenfoneシリーズ(ASUS)やPシリーズやhonorシリーズ(HUAWEI)といったグローバルメーカーのスマートフォンの知名度向上も大きいですが、やはりこれまでガラケー時代にお世話になっていたAQUOS(シャープ)やARROWS(富士通)という安心の国内メーカーによるSIMフリー市場への参入、しかも聞いたことのあるブランドのスマートフォンが「安価」に購入でき、しかも通信料もこれまでより安価になること、これが大きな理由だと思います。
そんな中、我らがXperia。一体どうしちゃったの??と。
Xperiaも付き合い程度に1モデルだけ販売したが・・・
Xperia J1 Compact。
最近格安スマホを知った方は知らないかもしれませんが、Xperiaにも国内SIMフリーモデルが存在しました。2015年4月20日発売。しかしその価格は49,800円と決して「格安」というわけでもなく、仕様も2014年6月にドコモXperia A2(SO-04F)として販売したものとデザインは同一、機能もほぼ同等なのに「型落ち」相当で。。
2015年春当時、防水防塵&FeliCa搭載のSIMフリーモデルはほとんど無く、この点だけでも格安スマホ市場では優位だったはずが、肝心のモバイルSuicaに対応しておらず、結局8ヶ月後の2015年12月までは使えるサービスが限られていました。
そして、親モデルXperia A2はOSバージョンアップによってAndroid 5.0へ進化しましたが、Xperia J1 Compactは発売当初のAndroid 4.4のまま、すっかり忘れられた子でもありました。
XperiaコンパクトモデルはXperia Z1 fから、フラッグシップモデルをぎゅっと4.3インチに詰め込み、画面サイズや解像度を抑えたことで、電池の持ちもよくて非常に使い勝手のいいモデルでした。そのマイナーチェンジ版がXperia A2、そして伝説の名機Xperia Z3 Compactにつながっていくわけですが、その過程においてもXperia J1 Compactはもっと売れてもよかったと思います。がしかし売れなかった・・・
悲しすぎるほど・・・
なぜ売れなかった?
2015年当時、格安スマホの価格帯は2万~3.5万円くらいだったでしょうか。その中で税込5万円超はやっぱり高額です。だからなのか、端末代金の24回分割払いにも対応していたり、かなり先進的な買い方だったはず。
スペックもフラッグシップ相当のSnapdragon800(2.2GHz 4コア)、RAM/ROMは2GB/16GBです。カメラが売りのXperiaですから、Xperia J1 CompactにもGレンズ+Exmor RS+Bionzというフラッグシップと同じカメラ機能が搭載されていました。
そして取り扱いMVNOもソニーグループであるSo-net、イオンモバイルの2社のみの取り扱いでした。後に楽天モバイルでも扱いを始めましたが、時既に遅し・・・
今思えばXperia J1 Compactは「時期尚早」であったこと、またMVNOの攻勢を「舐めていた」だったのでしょう。プロモーションもソニーモバイルの大お得意様である3キャリアに気を使ったためか、殆ど無かった気がします。これだけMVNOサービス事業者があるのに扱い事業者を思いっきり絞ってしまった。しかもそんなにシェアを持っていないSo-netとイオンモバイル。楽天モバイルは慌てて追加したような感じです。
きっとソニーモバイル社内ではXperia J1 Compactは「失敗」扱いされているのでしょうね。本当にもったいない・・・
地道に新モデルを発売し続けた国内メーカーの今・・・
この空回り期間(?)に、3大キャリアでの勝負を避けたと思われる富士通は2015年10月に「ARROWS M02」を発表しました。ARROWSは2014年12月にM01を発売、このモデルチェンジ版を投入し、MVNOの盛り上がりとともにこの並みに乗ってヒット商品となりました。そして今年7月には後継モデルとして「ARROWS M03」を発売しています。
同じくシャープも2014年12月に「AQUOS SH-M01」を発表後、2015年11月に「AQUOS SH-M02」を、今は3代目となる「AQUOS mini SH-M03」を発売しています。
いずれのモデルも防水防塵&おサイフケータイ対応(モバイルSuicaにも対応)です。価格もARROWS M03は36,000円前後、AQUOS mini SH-M03は46,000円前後というもの。
価格.com – 格安スマホ比較人気ランキングによると、ARROWS M03が2位にランキングされています。ついでに量販店の週別ランキング(ビックカメラ | 格安スマホ週間売れ筋ランキング)も見てみました。実店舗ではグローバルメーカーが人気のようです。
格安スマホは基本的に街のキャリアの看板を掲げたお店ではお困りごと相談には乗ってもらえないのが一番ネックだと思っていますが、量販店が駆け込み寺になっているのでしょうね。(ちゃんと対応してくれるのか分かりません、基本的には売りっぱなしだと思ってますが、今は違うのですかね)
Xperiaはこの動きをどう捉え、どう動くべきか
ソニーモバイルも一代だけでやめるのではなく、もう1機種出して様子を見るべきだった、と。
もっとも、富士通やシャープは国内市場「しか」ないため、生き残りをかけて勝負に挑んでいるのでしょう。(シャープは鴻海に買収されましたので、今後は海外市場に出るかもですが)
しかしソニーモバイルは日本の企業ですが、世界中に展開するグローバル企業です。グローバル市場から見れば日本国内市場は「一部」でしかありません。
(2016年のIR資料に地域別売上構成比がなかったため、前年のものを利用しました)
この息を潜めているような感じ、どうやらこのまましばらく継続しそうです。
2016年IR資料によると、今後も継続して「高付加価値領域」の強化を掲げており、日本における端末出荷数は3大キャリア向けに注力し、ていねいにフォローしていくことが今のソニーモバイルには最重要事項のようです。
たとえ日本の格安スマホを含む端末出荷数で他社よりシェアを落としたとしても、より市場が大きい海外での成功がグローバル企業としての価値となる=格安スマホには参入する予定はない、と思ったほうがいいのかもしれません。
Xperiaファンとしては、例えば日本でも十分通用するであろうXperia XをSIMフリー市場に投入すれば、より一層AndroidスマートフォンにおけるXperiaの立ち位置が良くなると思いつつ、そのプロモーションにかけるコストは3大キャリア向け、日本での成功事例をグローバル市場でも展開していくコストに充てるほうが効果があると判断したのでしょうね。弱い点を強化<強い部分をより伸ばす、ということでしょうか。
この判断が間違ってないことを祈ってます。5年後の日本におけるスマートフォン事情、総務省が躍起になってMVNOを育てていこうとする動き、最終着地点は通信契約(SIM発行)と端末販売が分かれることだと思いますが、そのあたりを見据えて、今度こそ判断を見誤らないよう、スマートフォンを取り巻く変化に注目していきたいと思います。
[…] 以前も考察しましたが、Xperiaは今、日本の格安スマホ・格安SIM市場に入り込まなければ、間違いなくシェアは減少していくでしょう。せっかくXperia Xというミドルクラス向けの製品を持 […]
激しく同意です!
SIMフリーモデルのXperia 出して欲しいですよねー
キャリアとの関係上出しづらいのは分かりますが、富士通やシャープも頑張ってることですし、、
ほんとそうですよねぇ。
XPERIAが欲しい層はMVNOに流れてると思うんです。
海外版を技適マーク取得だけでもいいんだけど、
おさいふケータイ、防水・防塵保証があると最高です!
SONYさん!
国内版SIMフリーXperia XZ / X compact 出しましょう!
今出さなかったら負け犬SONYです!
ツートップで優遇されたソニーは出せないんじゃない。圧力が強すぎて
逆に容赦なく突き放される現実を目の当たりにした富士通とシャープはキャリアに依存しない路線を目指して今があるわけで
そういえばサムスンからもSIMフリー端末出てませんね。LGは出してるのに
Xperia A2は、Android5.0に対応しているのですか?
すみません、間違えていますので修正します。
ファーウェイやASUSが席巻してるのを見ると、勝つべくして勝ったというだけなんですよね。
SIMフリーとして流行り始めるのを感じて初期の段階から動いてますし。2、3万円をボリュームゾーンとして適切な端末出してきました。今はハイエンドまでちゃんと広げてきました。
対するソニーは、当時6万円でしかもZ1Comactという2世代前の型落ち品で印象が悪かった。
古い世代の人間から言わせて貰えば、ソニーの衰退は寂しいものです。テレビにしてもPCにしても…昔の元気は何処に行ったの?って感じです。国内のスマホ事情もおかしいことがいっぱいです。以前外国でxperiaを使っていたのでこちらに帰って来て格安?シムを契約して家電量販店でxperiaを購入しようと思ったらキャリアのシム契約しないと売ってくれないとのこと!!
担当者から中古を買うしかないですね…と言われ頭にきました。
ソニーさん、頑張ってください、dやaやsも大事かも知れないけど、世界のソニーでしょう、国内でシムフリー端末販売して下さい。
本当におっしゃるとおりです。
特にX CompactのSimロックフリーを出してほしいです。現物を見たらサイズも色も魅力的でした。
ついでに言えばソニーさんは、キャリア向けもキャリアのゴミアプリを全部撤去すべく、(ゴミアプリを希望する人向けに、店員がOTGで一発インストールできるmicroUSBドングルを販売店に配る、なんて形でもいいから)キャリアと粘り強く交渉してほしいです。ブルドーザーのように信念を通してほしい。
iPhoneのあとはシムフリーAndroidばかり使っていたのですが、最近久々にお店に行ったら、画面を埋め尽くすアイコン d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, d, … に圧倒されました。(´・ω・`)
苛烈な販売ノルマのあるiPhoneに誘導するためにわざとXperiaを使いづらくしてるのか?なんてことさえ頭をよぎったほどです。。(そんなことあるはずないのはわかってますが)
Xperiaは最終的には名誉ある撤退を考えているのではないかと最近考えています。。。