2月2日にソニーの第三四半期 決算報告が発表されました。
Sony Japan | 業績発表文
null
売上は前年同月比 +2,748億(11.5%増)の2兆6,723億円、営業利益も +2,585億円の3,508億円。グローバル企業ですので、為替の影響もさることながら、G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)分野、HE&S(ホームエンタテインメント&
サウンド)分野、金融分野の大幅増収により達成されたもの。
この数字だけを見れば、順風満帆に見えます。ですが、各部門ごとの業績を見てみると・・・
モバイルコミュニケーション分野は前年同月比で売上 △311億円、営業利益 △54億円というソニー各事業部門(共通部門・その他を除く)の中で唯一マイナス成長という状況です。
もう少しモバイルコミュニケーション分野について見ていきます。
スピーチ原稿より
次に、モバイル・コミュニケーション分野についてご説明します
・当四半期は、スマートフォンの販売台数減少などにより、前年同期から13%の減収となりました
・ 営業利益は、54億円の減益となり、158億円を計上しました
・前年同期との比較では、オペレーション費用の削減や、過去に引当を行った特許費用の戻し入れがあったものの、先ほど述べた販売台数の減少や、主要部品の価格上昇、為替などのマイナス影響が大きかったことから、減益となったものです
・ 通期では、スマートフォンの販売台数見通しを、10月時点の想定から150万台引き下げ、1,400万台としております
・これを受けて、売上高見通しは400億円引き下げ、7,400億円としております
・ 営業利益見通しについては変更しておりません
・先ほど述べました販売減によるマイナス影響を、オペレーション費用の削減などによりカバーすることで、今年度も黒字を維持したいと考えております
『スマートフォンの販売台数の減少』
やっぱりそうだよね、、、と。
ソニーモバイルコミュニケーションズの決算発表ではないので、セグメント(地域)別のシェアなどの情報も確認してみたいところですが、販売台数見通し1550万台→1400万台と下方修正となりました。
これを見て、わたしは
「助けて!Xperiaが売れてないの!!」
と思いました。
ここで2014年12月にインプレス社webメディア「ケータイwatch」による十時社長へのインタビューを振り返ってみると、当時から”モデルを絞って販売国を絞って、高収益を”という方針でこれまで推進してきたと思います。
しかしモデルは絞られた?といえば、そうでもない。Xperia XをベースにX Performance、XA/XA Ultra、XZというように派生モデルがたくさんあって。確かに2017年からベースモデルはXからXZ系になって、1モデル消滅したかもしれませんが、同じモデルでもシングルSIM/デュアルSIMモデルありますし、型番レベルではまだまだ・・・
また、このインタビューでは当時未発表の”wena wrist”にも触れていたり、モデルサイクルの見直し、2017年ころに新しいものを作っていこう(=Xperia Ear、Xperia Hello!、Xperia Touchなどを指す?)という話に加え、SIMフリー機の販売開始にまで触れています。
今日までにこのインタビューで語られたことはほぼ実現しています。そして、この当時からこんなことも言われています。
持っていた技術の“ため”がそろそろなくなりつつあります。
差異化については、もう1回ソニーのR&Dと深く連携し、新しい技術を入れることを丁寧にやっていきたいと思います。スマートフォンに求められるフィーチャーは、たとえばバッテリーであったり、キレイなスクリーンであったりします。今は音やカメラの性能も求められていますが、ほかの会社より、少しでも早くそれらの新しいものを提案していきたいと思っています。
カメラ領域、オーディオ領域でもソニー内部の技術をきちんと組み込んで新製品として発売しているのはわかります。ですが市場に響かない・・・他社も同じような機能を装備し、さらに他社は狭額化、画面サイズ18:9化などトレンドを踏まえているのにも関わらず、実装せず。
OLED(有機EL)の実装も検討しているとの情報もありますが、これだってSamsungは5年前から実装してますし、iPhoneだってすでに採用していて、今さらXperiaがOLED化したところで大きなインパクトにならない可能性も・・・
さらに繰り返しになりますがケータイ分野に長けたジャーナリストによる2017年を振り返る記事の中でも触れられないくらい話題性に欠ける今のXperia。Xperiaファンとして非常に悲しいです。
今回、ソニーの社長が平井さんから吉田憲一郎さんに交代することも合わせて発表されました。第2次中期経営計画の最終年度となる今年度、経営数値を上回る業績をあげ、吉田新社長に経営の手綱をわたします。
吉田新社長は過去、So-netやnuroを運営するソニーコミュニケーションネットワークに出向していた時期もあり、ISP・モバイル事業には長けてることを個人的に期待していますが、反面、テレビ事業の子会社化やVAIO事業の売却にも関わってきたため、Xperiaの行方も新体制の中で判断されると思います。
分社化するのか、モバイルコミュニケーション事業そのものを止めてしまうのか、4月1日以降の社長就任会見に注目したいと思います。
今回の人事の平井氏退任と吉田氏昇格の大きな話題でさらっと流されてますが
CEOに昇格する吉田氏の代わりにソニーモバイルの十時社長がソニーモバイル社長を退任してソニー本社の代表執行役CFOに着任する点もポイントですね。
吉田氏的には信頼できる人をという事で元直属の部下である十時氏に白羽の矢を立てたのでしょうが、担当のモバイル事業で結果を出せてるとは言い難い氏を選択したのは傍目にはお友達人事にしか見えませんね。
いつも決算では険しい表情で弱みを見せない吉田氏の弱みを垣間見た気分ですよ。
まぁ十時氏は吉田氏と同じ財務畑出身ということなのでモバイル事業の社長よりもCFOの方が本来は適役なのかもしれませんが…
ともあれ、スマホ事業の立て直しは難しいオペレーションだったとはいえ十時氏就任の二年間は迷走してただけにしか見えないのですが、今更ソニーモバイルの迷走を隠しても仕方ない事ですし、ソニーモバイルの社長が変るタイミングに合わせていっそのことXシリーズも無かったことにして以前のハイエンド=Z、ミドルレンジ=M、エントリーモデル=Eとシンプルな形に戻したらどうかと思う限りです。
それが、「Xperia Z4の呪い」かもしれませんね。
【#Xperiaアンバサダー[Z4/番外]】今更Xperia Z4が快適になった事と、そうなる迄の苦悩の期間と悪循環の過程を考察してみる
http://suzunonejh.blog15.fc2.com/blog-entry-6771.html