【MVNO】格安だからと飛びつく前に知っておくべき5つのこと

「MVNO」(エムブイエムオー)という言葉がだいぶ浸透してきたな、と思う今日この頃。いや、MVNOより「格安SIM」という言葉が馴染みがあるかもしれません。

最近の「格安SIM」はスマートフォン本体も合わせて手に入れられることから「この夏休みに子供にスマートフォンを持たせたい」とか「自分が今まで使っていたスマートフォンを使いつつ回線契約だけ変更して使おう」など、これまでとは違うアプローチで携帯電話にかけるコストを減らそうとする動きが私の周りでも出てきました。

これまではどちらかと言えば安価な「データ通信」を目的にSIMを購入する人が多かったと思いますが、この風向きが変わってきたことを感じています。

今回はメイン回線をMVNOに切り替えるにあたって知っておくべきことをまとめてみました。

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※本考察では格安SIMを「MVNOサービス」と敢えて書きます。ご了承ください。

今さら聞けないMVNOってなんだっけ?

今や「格安SIM」と言ったほうが通りがいいのですが、MVNOをカンタンにいうと「ドコモやKDDI(au)の回線を間借りした会社が提供する安価な通話・通信サービス」です。

MVNOはMobile Virtual Network Operator=仮想移動体通信事業者の略称です。

現在、MVNOサービス提供会社のうち99%はドコモの回線を用いるサービスを提供しており、KDDI(au)回線をベースとしたMVNOサービスは1社のみ、ソフトバンクは0件 *1です。(2014年7月現在)

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MVNOサービスを提供する会社は大きく4種類あります。数が多すぎて把握しきれないため代表的なサービスをピックアップしてみます。

  • インターネットプロバイダが母体となって提供するMVNO
    OCNIIJBIGLOBESo-netなど
  • MVNOサービスを専業とする企業
    :日本通信(b-mobile)など
  • 家電量販店の提供するMVNO *2
    :ビックカメラ(BICSIM)、ヨドバシカメラなど
  • 通信会社ではない企業が提供するMVNO
    :ウォルト・ディズニー社(Disney Mobile) *1、トヨタ(G-BOOK) *3 など

その会社ごとに細かいサービスは異なるものの、回線品質は上記の通り元の回線はドコモとKDDIですので同じと思ってよいかと思います。

*1 Disney Mobile(ディズニーモバイル)は唯一ソフトバンクモバイルの提供するMVNOサービスです。ソフトバンク店頭で契約するために、MVNOとはあまり認識されていないかもしれません。

*2 家電量販店が通信サービスをするわけではありません。ビックカメラはIIJmioのOEM、ヨドバシカメラはb-mobileのOEMとして独自サービス(Wi-Fiスポット)を付与して提供しています。

*3 G-BOOKは対応カーナビゲーションを装着した場合にKDDI(au)の回線を用いて渋滞情報やCDDB情報を受信する通信モジュールを提供しています。

これまでの電話番号が使えるようになった

MVNOサービス提供会社の全てではないですが、いくつかのサービス提供会社ではMNP(ナンバーポータビリティ)の転入を受け付けているMVNOサービスもあります。

言うまでもなくMNP(ナンバーポータビリティ)とは番号はそのままで別のキャリアでも使い続けられるものです。

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これは、高コストと言われる大手3大キャリアから低コストなMVNOサービスでこれまでと同じ電話番号を使い続けることができるようになりました。もちろん回線品質はドコモやKDDI(au)と同じですので特に困ることはないはずです。

そんなに安いなら乗り換えようかなぁ、と思っている方もいると思いますが、安いにはワケがあります。それらを以下にまとめてみます。

安価である理由

MVNOサービスは百花繚乱です。多すぎてたぶん誰も把握できてません。ですが、いずれのMVNOサービスもドコモやKDDIに比べると各社の契約内容には一定の制限があり、万能ではないことをまずは知っておいてください。

どんな制限があるかというと、主にデータ通信の量です。

これまで主要3キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク)はパケット定額料金に含まれるパケット量を「7GB」としてきました。

一般的な使い方だと7GBを使い切るのは至難の業、でもなくYouTubeで高画質動画(HD)を2時間見るだけで6GBにも達してしまうようです。(KDDIサイトより) 利用するサービスによっては2GBも使わない、などと人それぞれなのでなんとも言えませんが、目安として上記KDDIサイトを確認してみると良いかもしれません。

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MVNO各社の制限がかからないLTE通信のデータ量は1GB~2GB。上記の表の1/7もしくは1/3.5程度。下記は2GBを上限としたときの参考値です。

項目 1ヶ月 1日あたり
webブラウザ 8,676ページ 289ページ
メール 40.8万通 1.4万通
YouTube 16.5時間 0.5時間
地図 2,796回 93回
音楽 511曲 17曲

2GBは意外と早く到達するレベルだと思ったほうがよいでしょう。特に動画を見る方はあっという間に食いつぶしてしまうはず。しかし2GB使いきったあとも128kbpsなど低速ではありますが通信は可能なのは幸いです。

音声通話に関しては3大キャリアはこぞって音声定額プランを開始しましたが、MVNO各社は重量制です。通話料金は21.6円/分(IIJmioの音声通話サービスの場合)です。

また、ファミリー割引や無料通話など各種割引施策はありませんし、家族間通話も無料とはなりません。これは地味に痛いところかも。

このようにMVNOは安価ではありますが、安いなりの「制限」がありますことを知っておくことが大切です。

できないこと

(3)で安価な理由をまとめましたが、今までできていたことが出来なくなるサービスもあります。一番大きなできないことは「キャリアメールが使えなくなる」こと。◯◯△@docomo.ne.jpや△△□@ezweb.ne.jpが使えなくなります。

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Gmailとか自宅のメールを使うからいいんだ、という方もいるかもしれません。しかし、実はちょっと面倒なことも起こりうるのです。主に2つ困ることを挙げてみます。

  1. メールは送信する相手がいるもの
    相手の方はスマートフォンを利用しているとは限りません。ガラケーを使い続けている可能性も十分にあります。
    ガラケーは迷惑メール対策として、標準でキャリアメールアドレス以外からのメールを拒否する設定がされている場合も多いです。そしてその設定/解除はガラケー本体で設定するのではなく、キャリアメールサービスに「ログイン」し、(分かりにくい表示の中から)設定する項目を探し出して、分かりにくい項目から設定する必要があります。これは誰もができる設定項目ではないと思いますし、引き続き迷惑メール対策をする場合に、相手に対し「自分のメールアドレスのみ受信できるように設定してくださいね」とお願いできる相手でしょうか。大抵の場合は、そんな面倒なことしたくないしできない!となるのではないでしょうか。

     

  2. ケータイアドレスが未だに必要なサービスも存在する
    レストラン予約、割引クーポン配布サービス、子どもの学校からの(一斉)緊急連絡など、いまだにケータイアドレスしか登録できないサービスもあります。私の知っている具体的なサービスはEPARK。くら寿司などで席予約をするときに使ったりします。サービス提供会社は分かりませんが、ガソリンスタンドの3円引きクーポンなど送られてくるサービス、小児科の予約サービス、地元小学校からのお知らせメールはキャリアメールアドレスのみです。

    これらのサービスを利用している場合はMVNOサービスにMNP(乗り換える)すると、不便な思いをすることも出てくると思います。

このようにまだ数年はキャリアメールが使える環境は残しておいたほうが良いかな、と個人的には思います。

使用する(したい)端末に合わせた回線契約を

MVNOサービスは大きく2つの契約形態があります。SIMカードのみを購入(契約)するケースと、スマートフォンと合わせて購入(契約)するケースです。

SIMカードのみの場合、自分で何らかの端末(スマートフォン)を準備する必要があります。この時に気をつけなければならない事があります。それは使用するスマートフォンがどのような回線に対応しているのかによって、契約するMVNOサービスが変わってしまいます。

冒頭にも書きましたが、世の中のMVNOサービス、ほぼ大多数がドコモ回線を用いたサービスです。唯一 KDDI(au)のMVNOサービスを行うのが関西電力系のケイオプティコムの「mineo(マイネオ)」です。

昨今、「LTE」という高速通信の規格が当たり前になってきました。2012年にサービスが開始された「LTE」、ついこの間まではあくまで「データ通信」のための高速通信網であり、通話は従来型(3G規格)で行います。

この「3G」という規格がクセモノで、WCDMA方式とCDMA2000方式があります。日本ではWCDMA方式を取るのがドコモとソフトバンク、CDMA2000方式を取るのがKDDI(au)なのです。

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(図は「価格.comマガジン ケータイ選びを変える?? SIMロックフリー化とは」から。周波数帯がちょっと古いですね)

ハードウェア的に外観は全く同じであっても、中の基盤がその通信会社向けに通信チップが異なるため、相互使用ができないのです。(たまに両方対応しているものもある)

例えばXperiaでいいますと、Xperia Z1という同名製品がドコモとKDDIから発売されています。こちらの外観はロゴの位置が違う程度ですが、例えばドコモのSIMをKDDIのXperia Z1に挿しても通話ができません。
(通信も基本的に不可) *1

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左:KDDI Xperia Z1(SOL23) 右:ドコモ Xperia Z1(SO-01F)

手持ちのスマートフォンを利用する場合、その電波方式に合致したMVNOサービスを購入(契約)することが非常に重要です。(簡単に言ってしまえば、使いたいスマートフォンがKDDI(au)のものであれば、mineo一択となります。ソフトバンクのスマートフォンの場合はドコモのMVNOサービスを契約すればデータ通信は可能) *1

*1 キャリアで販売したスマートフォンにはSIMロックと言って、契約したキャリアでしか通信ができないよう内部的にロックされています。ソフトバンクの一部スマートフォン、及び(たぶん2012年以降発売の)ドコモスマートフォンは3,000円でこのSIMロック解除が可能です。

各MVNOサービス会社のホームページでは動作確認済み端末一覧の記載があると思いますので、必ず確認することを強くお勧めします。

もう一つ大事なのは使用するスマートフォンの対応周波数です。ここまで読んで「やっぱりメインに使うのはやめてこの前まで使ってた2年前のを試しで使ってみるか!」という方は要注意です。

2年前はちょうどLTE対応スマートフォンが出始めたばかり。対応周波数も1バンド(2.1GHz)のみで、都内など常に通信量が多く、回線が混み合って速度が出ないことも。この回線が混み合った状態ではドコモ契約であっても遅いはずですが、、、

端末の性能も最新型に比べれば落ちてしまうため、そんな環境で使った感想が「なんだやっぱりMVNOダメじゃないか!」というネガティブな印象しか残らない可能性も。

ですので、あまり古い端末で試してみよう!というのはできれば避けたほうが良いと思います。

まとめ

これまでMVNO(格安SIM)は万能ではないよ、という主旨でまとめてきました。(しかもスマートフォン=Androidとして)

  1. MVNOサービスって問題ないの?
  2. 今までの番号で移行(MNP)が可能になった
  3. 格安である理由を知る
  4. できないこともあります
  5. スマートフォンの仕様に合わせたMVNOを使う

メインで使用する電話回線をMVNOサービスに乗り換える場合、

  • 自分の日々のスマートフォンの使い方を確認する(出先などで動画視聴が多いようであれば厳しい)
  • キャリアメールを完全に捨てられること
  • 使用したいスマートフォンの仕様に合わせたMVNOを選択すること

このあたりに注意してコスト削減策を検討することが大事だと思います。

なお、iPhone5s/5cについてはドコモ・ソフトバンク・KDDI(au)共にApple社の型番は「A1453/A1456」です。ですので端末仕様上はどこのキャリアのSIMカードでも通話・通信が可能ですが、前述のとおり各キャリアは「SIMロック」をかけているため、ドコモ・ソフトバンクのiPhoneはドコモ系のMVNOサービスで、KDDI(au)のiPhoneはmineoのみがMVNOの対象となります。

ちなみにアップルストアで販売されているSIMフリーと共に、基本的には各MVNOサービスがそのまま使えるはずです。

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よいスマートフォンライフを!!

コラム:新しい通信サービス(VoLTE)におけるMVNO勢力の変化

昨今総務省が通信料金引き下げを目指し、通信会社の商慣行の見直し案としてSIMロック解除を義務付ける決定をしました。これによりMVNOへの移行が今まで以上に進むものと期待されています。(実際にはそんなに進まない、と思います。この考察の通りです)

またドコモは2014年6月24日より通話にもLTEを使う「VoLTE(ボルテ)」のサービスを開始しました。KDDIも時期は未発表であるものの、音声もLTE網を使ったサービスを開始に向けて準備中です。

KDDIがVoLTEに参入すると、これまで音声3Gの規格がドコモ・ソフトバンク陣営と異なるために、音声通話では他社と競合しなかった唯一のサービスが完全に崩壊します。

またSIMロック解除も義務化されること、音声もデータ通信もLTE網を使うため、どこのキャリアで契約したスマートフォンでも他社でもちょっとした設定(APN設定)をするだけでお気に入りのスマートフォンを使い続けることができるわけです。

自 分を含むマニアの皆さん(!)も、スマートフォンを完全に使いまわすことができるようになり、欲しいスマートフォンを安く購入できるキャリア、料金プラン を探し、契約後にMNPして・・・と、顧客争奪戦がに更に拍車をかけること必至であるため、なかなかサービスインしないのではないかとも思ってます。ユー ザとしては早期のサービスインを期待しているのですが。。

1件のコメント


  1. ドコモのスマホをMVNOで使用した場合、テザリングが出来なくなる、というのも制限のひとつですよね。