「MVNO」という言葉もようやく根付き、もう「格安SIM」なんて言い換えも必要なくなってきた感のある今日この頃。
これまでのMVNOといえば「データ通信」に特化してさまざまなプロモーションを行ってきていましたが、最近はメインで電話としても利用している回線契約もろともMVNO各社にMNP(ナンバーポータビリティ)する方も徐々にですが増えてきているようにも感じます。
これは3大キャリアの通信費の高さ、柔軟性のない料金プランしか選択できないことに辟易しての選択のようです。例えばこちら。相当お怒りモードでのMNPです。
そんな通話も可能なMVNOサービス提供各社が更に魅力ある内容に軒並みアップグレードしていると聞いたのでまとめてみました。
比較するのはこの5社
今回比較するのは以下のMNPの受け入れを行っているMVNO5社です。ネットニュースや雑誌などで一度は聞いたことのある名前だと思います。
サービス提供会社
- BIC SIM : http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/service/bicsim/index.jsp
. - BIGLOBE : http://join.biglobe.ne.jp/mobile/lte/
. - イオンスマホ : http://www.aeonretail.jp/campaign/newcom/
. - 日本通信(b-mobile) : http://www.bmobile.ne.jp/fd/index.html
. - mineo : http://mineo.jp/
比較する観点は通信料や通話料はもちろんのこと、MNPのしやすさなども検証してみたいと思います。
BIC SIM
BIC SIMはビックカメラが提供するサービス。「ドコモ」のMVNOを利用し、通話・通信ともにドコモの提供するエリアで使用することができます。
http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/service/bicsim/index.jsp
概要
実体はIIJmioの高速モバイル/Dサービスに加え、Wi2(ワイツー) 300社の提供する公衆無線LANが利用できます。
料金プラン
10月1日よりデータ通信量が倍増し、音声通話パックのミニマムプラン(1,600円/月)の場合1GB⇒2GBになりました。
プラン名 | ミニマム | ライトスタート | ファミリーシェア |
月額料金 (含 通話基本) |
1,600円 | 2,220円 | 3,260円~ |
最低利用 期間 |
12ヶ月(契約解除料:残月数×1,000円) | ||
国内通話料 | 20円~(30秒) | ||
国内SMS 送信 |
3円/通~ | ||
通信速度 (最大) |
下り150Mbps 上り 50Mbps |
||
*クーポンOFF時及び契約データ量超過、72時間の通信料が366MBを超えた時 200kbps | |||
追加チャージ | 200円/100MB | ||
通信量 | 2GB | 4GB | 7GB |
SIM枚数 | 1枚 | 最大3枚 | |
端末提供 | なし(別途購入、もしくは手持ちのドコモスマートフォン/ドコモiPhone/SIMフリー機が必要) | ||
契約方法 | ビックカメラのBIC SIMカウンターのある店舗では店頭でMNP含め全ての手続きが可能 |
BIC SIM最大の特長は「店頭での手続きが可能」であることです。インターネット上にクレジットカード情報を流したくない、ちゃんと説明を聞いてから手続きしたい、困ったら直接教えて欲しい、というニーズはかなり多いと思います。(キャリアショップの休日の混み具合を見れば一目瞭然)
しかし、BIC SIMは端末とSIMカードのセット販売はありません。表中にも記載しましたが、手持ちのスマートフォン(ドコモ)、ドコモiPhone、SIMフリー機が必要になります。
BIGLOBE
こちらも「ドコモ」MVNOサービス提供会社です。ドコモの提供するエリアで使用することができます。
http://join.biglobe.ne.jp/mobile/lte/
概要
もともとNECのインターネットプロバイダ「BIGLOBE」サービスでしたが、2006年プロバイダ専業会社として別会社化、2014年にはNECグループから独立し株式会社ビッグローブとしてプロバイダ事業とモバイル通信事業を提供しています。
料金プラン
他社に追従すべく11月1日からデータ量が大幅増量します。プランは全部で4種類。
プラン名 | エントリー | ライトS | ライトM | スタンダード |
月額料金 (含 通話基本) |
1,800円 *1 | 2,405円 *1 | 3,738円 *1 | 4,690円 *1 |
最低利用 期間 |
12ヶ月 (契約解除料:8,000円) | |||
国内通話料 | 20円(30秒) | |||
国内SMS 送信 |
3.15円/通 (5通まで無料) | |||
通信速度 (最大) |
下り150Mbps 上り 50Mbps * 契約データ量超過時は200kbps、直近72時間でデータ送受信量が下記規定値を超えた場合 |
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120MB | 360MB | 360MB | 1GB | |
通信量 | 2GB | 5GB | 8GB | 10GB |
追加チャージ | 300円/100MB | |||
SIM枚数 | 1枚 | |||
端末提供 | あり LG G2 mini for BIGLOBE |
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契約方法 | MNPはwebのみ、新規の場合はwebもしくはイオン店頭にてSIMカードを購入後、webで手続き |
*1 BIGLOBE会員の場合、△200円となります。
BIGLOBEは自社がISP(インターネットサービスプロバイダ)であることから、「BIGLOBEでんわ」というIP電話サービスも行っており、通話が10円/30秒でできる点が特長です。(また国内未発売のLG G2 miniとのセット購入ができる点も特長かも)
デメリットとしてはMNPの場合、事務手続き・発送手配で手元に新しいSIMカードが到着するまでに2~3日かかり、その間は電話(通話)ができなくなる点です。代替の通話手段がないとちょっと厳しいと思う人もいるかもしません。。
イオンスマホ
イオンが提供するサービス。「ドコモ」のMVNOを利用し、通話・通信ともにドコモの提供するエリアで使用することができます。
http://www.aeonretail.jp/campaign/newcom/
概要
イオンはイオンスマホ専用Android端末を提供し、回線契約はBIGLOBE(実体はドコモのMVNO)と行う異色のサービスです。端末セットが前提ですが、回線契約(SIMカードのみ販売)もあります。
料金プラン
プラン名 | ALCATEL製 IDOL 2 S |
geanee製 FXC-5A |
富士通製 M01 *12月上旬発売 |
月額料金 (含 通話基本) |
1,650円*1 | 1,350円*1 | 1,350円*1 |
最低利用 期間 |
なし(ただし、中途解約時に端末代は支払う必要あり) | ||
国内通話料 | 20円(30秒) | ||
国内SMS 送信 |
3円/通 (5通まで無料) | ||
通信速度 (最大) |
下り150Mbps | 14Mbps (LTE非対応) |
記載なし |
通信量 | 2GB | 1GB | 1GB |
追加チャージ | 300円/100MB | ||
SIM枚数 | 1枚 | ||
端末提供 | 1,330円/月 (一括31,920円) |
630円/月 (一括15,120円) |
1,530円/月 (一括36,720円) |
契約方法 | イオン店頭もしくはイオンショップ(web通販) |
*1 端末同時購入時のキャンペーン価格
イオンスマホ第一弾はNEXUS4でしたが既に終了、第2弾、第3弾が発売中で12月上旬に初の国産(富士通 ARROWS)が投入される予定です。
イオンスマホ契約者の6割が60代以上という記事にもありますが、端末とセットでしかも安い!という点が人気に火をつけたようです。そのシニア層から「国産スマホがいい」というニーズを実現したのが12月発売の第4弾だそうです。
端末の魅力はあまり感じないのですが、「格安スマホ」の知名度向上には非常に貢献していると思いますので、リストアップしてみました。
日本通信(b-mobile)
こちらも「ドコモ」のMVNOサービス提供事業者です。ドコモの提供するエリアで利用することができます。
http://www.bmobile.ne.jp/fd/index.html
概要
日本通信はMVNOキャリアの草分けです。非常に多様なプランを用意しているのも特長。今回はその中から「スマホ電話フリーData」という商品を取り上げてみます。
料金プラン
LTE通信のできるプランは1つのみです。
プラン名 | スマホ電話フリーData |
月額料金 (含 通話) |
1,560円 |
最低利用 期間 |
5ヶ月(契約解除料:8,000円) |
国内通話料 | 20円(30秒) |
国内SMS 送信 |
3円/通 |
通信速度 (最大) |
200kbps (データ圧縮あり、画像データは低画質となります) |
通信量 | 使い放題 |
追加チャージ | *高速通信オプションあり(翌月繰越なし) 1GB:340円 2GB:950円 3GB:1,560円 7GB:2,420円 |
SIM枚数 | 1枚 |
端末提供 | なし |
契約方法 | SIM販売はイオン・ヨドバシカメラ・Amazon等、手続きはwebのみ。 MNPはイオンのみ書面手続き後、後日SIM郵送 |
b-mobile スマホ電話フリーDataの特長はデータ無制限(速度は200kbpsですが)であることです。webやSNSであれば十分な速度だったりします。(動画はキツイ)
デメリットはやはり高速通信ではないこと、オプション(340円~)でLTE通信もできますが、毎月の料金が1900円+税となりBIGLOBEよりも割高、しかも通信料上限が1GBと少し残念なプランとなってしまいます。
mineo(マイネオ)
唯一の「KDDI(au)」のMVNOサービス提供事業者です。auの提供するエリアで利用することができます。(ただしデータ通信はLTEサービス網のみ)
概要
関西電力の関連会社でインターネットサービス提供する「ケイ・オプティコム」社が2014年8月にサービスを開始した新しい事業者です。KDDI初のMVNO提供事業者として注目を集めています。
※2014.10.27時点でiOS 8.xは技術上の課題が解決できていないことから通信ができません。iPhoneをお使いの方は十分ご注意ください。契約後、通信ができないことを理由に解約を申し出ても最低契約期間より短い場合は契約解除料が発生するそうです。
料金プラン
プランは全部で3つ。データ通信量によって料金が変わる仕組みです。
プラン名 | 1GB | 2GB | 3GB |
月額料金 (含 通話) |
1,590円 | 2,190円 | 2,940円 |
最低利用 期間 |
12ヶ月(契約解除料:9,500円) | ||
国内通話料 | 20円(30秒) | ||
国内SMS 送信 |
3円/通 | ||
通信速度 (最大) |
下り75Mbps 上り25Mbps *契約データ量超過時、200kbps |
||
通信量 | 1GB | 2GB | 3GB |
追加チャージ | 150円/100MB | ||
SIM枚数 | 1枚 | ||
端末提供 | あり(AQUOS SERIE・DIGNO M) *端末保証あり(370円/月) |
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契約方法 | webのみ |
最大の特長はKDDI(au)のMVNOサービスであること。KDDI(au)の音声通信方式はCDMA2000といってドコモやソフトバンクとは方式が違うため、端末の互換性がありません。(マルチ対応しているのはiPhone/iPadのSIMフリーのみ)
メイン回線契約がKDDI(au)で、古い端末をサブ機として使ったり、子どもに使わなくなったスマホをもたせる時などにも端末を有効活用できる点では非常に良いと思います。(ヤフオクなどでもKDDI(au)のスマホはドコモのものよりも新品が安く手に入れることができる傾向がありますし)
デメリットは、データ通信は「LTE網」しか使えないこと。音声通話は3G網が使えるのですが。
KDDIのLTEエリアは、ドコモに比べれば広くないと感じていて(出張で難儀するときもある)、地方ではまだメインとして利用するには心もとないかな、と思います。mineoが悪いわけではないのですが、ちょっと費用高くなってもデータ通信が3G網でも使えればいいのに、、と思います。(iOS問題もこれで解決しそうな気もしますし)
MVNOをメイン回線として使用する注意点(再掲)
安かろう悪かろう「ではない」MVNO各社のサービス。移行を検討している方も多いと思います。繰り返しになりますが、MVNO回線は万能ではありません。
【MVNO】格安だからと飛びつく前に知っておくべき5つのこと
としてまとめていますが、長いので更にまとめると
- 家族間通話が無料ではない
- キャリアメールが使えないこと
に加え、「海外での利用に制限がある」ことも付け加えておきます。制限とは、日本への通話はOKですが、データ通信できないこと。(SMSは50~100円/通程度かかる)
海外出張や海外旅行でリア充ぶりをSNSに写真アップしたい、という場合は帰国後となります。(SIMフリー端末やSIMロック解除したドコモ端末をお持ちであれば、現地SIMを購入しデータ通信することができます。)
まとめ
今回はメインの回線契約をMNPする観点で4つのMVNOサービスを比較してみました。結果はもうお分かりかと思いますが、ドコモMVNOであれば「BIC SIM」が手続き方法、費用面でも一番安心して契約することができそうです。
KDDIのMVNOは今のところはmineo一択ですが、iOS問題もありますし、au iPhone利用者はちょっと様子見したほうが良さそうです。
#(東京の)都市部ではドコモより安定してLTE通信ができるので、私は個人的にmineoを非常に重宝しています。
MVNOの普及はMNP(ナンバーポータビリティ)の手軽さにかかっていると思っています。店頭で手続きのできるBIC SIMが今後のMVNOサービスの普及を大きく左右するかもしれません。
イオンスマホはせっかく全国展開しているイオン店頭での受付ができるのに、SIMカードは郵送となるため、数日は電話が使えなくなるのが非常に残念です。店頭で即日開通するようになれば、もっと利用者が増えると思うのですが。。。この流れに他社(同業・異業種)がどれだけ追従してくるかも見ものです。
個人的にはKDDIの大株主であるトヨタ、もしくはトヨタの関連会社によるMVNOとかおもしろいと思うのですが、いかがなものでしょうか。(G-BOOKの情報配信はKDDI網を使ってはトヨタメディアサービスがやってるのは承知してますが、コンシューマ向けにもっと!ということです。販売網も広大ですし。)
MVNOにはいくつかの制限も付きますが、必ず回避策がありますので、いろいろ情報収集してみることをオススメします。
今回は通話プランの比較考察なので触れませんでしたが、データ通信だけ利用するなら「ぷららモバイルLTE」の「定額無制限プラン」が良さそうなので簡単にご紹介。
2,980円/月で最大速度3Mbps、通信料制限なし(1日あたり・1ヶ月あたり)、最低利用期間もなし、ぷららが提供する映画やドラマ、アニメやバラエティなど約3,000本の人気ビデオ作品が見放題というとても頼もしいプランです。タブレットに最適かな、と思いました。
良いモバイルライフを!!
パイオニアである日本通信は何とかならないんですかね。
もうどこに向かっているのかも分からないです(笑)
禿にソニモバの人が引き抜かれたそうですが、半年ごとにフラッグシップを出していた当人のようですね。なんというか、いなくなって良かった方なのでは??
ユニークなニュースリリースを出す会社、という認識でw
黒住さん、今日のソフトバンクのらくらくホン発表会にも来ていたそうですよ(笑)
開発者がより自由な発想でこれまでにない端末を世に送り出してくれることを楽しみにしたいと思います!